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2021-04-07

マイクログリーン

スプラウト・マイクログリーン・マイクロハーブ・マイクロリーフ

今日は、言葉の整理をしたいと思います。


 

 

当ブログでは、

スプラウト、マイクログリーン、マイクロハーブ、マイクロリーフなど


 

また、アルファベットで

Sprouts、Microgreens、Microherbs、Microleafなど


 

色々な言葉を使っていることもあり、混乱を招いているのではと思いました。

 

また、最近では様々なWEBニュースや個人ブログさんでマイクログリーンのことを記事にされていらっしゃる方が増えてきています。
しかしながら、どの方も英語WEBサイトや英語書籍、または英語が堪能な方は直接海外の農産物生産者・農産物物流者から情報を得て、そのまま日本語でアウトプットされているだけです。

 

説明において、よく使われているのが、たとえば、栽培日数の長さによる定義分けです。

 

そういった方々の全員に一つ欠けていることがあります。

 

それは、

 

日本国内での、スプラウトの生産現場をまったく知らない、行ったことがないということです。

 

当ブログ筆者は、スプラウト生産者と仕事上にて取引していますので、

 

現場のこと、歴史のこと、マーケットのことなどなど熟知しています。

 

そういったことを踏まえ、

 

簡単に整理したいと思います。

 

 

まずは、

 

Sprouts

 

Sproutsは、野菜、穀物、豆類の種子に培地を使わず、水だけを与え、発芽させた野菜のことです。

 
日本で流通しているのは
・もやし
(緑豆、大豆、ブラックマッペなどがありますね。)

・アルファルファ

( ムラサキウマゴヤシ(紫馬肥)は、中央アジア原産のマメ科ウマゴヤシ属の多年草。 )

 

話はそれますが、元・聖飢魔Ⅱの構成員のギタリスト ルーク篁が仮の姿の大学生時代に組んでいたバンド名が紫馬肥でしたね。

 

商標登録されていますが、

・ブロッコリースーパースプラウト
・ブロッコリーの新芽プレミアム
・ケールの新芽プレミアム

 

などがあります。

そして、

 

・発芽玄米

・発芽豆 

 

なども含まれます。

 

次に

この英語のSproutsが、カタカナ語化したスプラウトについてですが、

 

日本で流通している有名なのは、

かいわれ大根、ブロッコリースプラウト、豆苗、レッドキャベツスプラウトなどがあります。
土耕栽培で育てられたものや土の代用品の培地(ウレタン、キノクロス、パルプ等)を使った水耕栽培で育てて、ほとんどの場合において根付きで出荷され、スーパーに並んでいます。
ご家庭に持ち帰り、調理の際に根っこの部分は切り取り、軸と葉を食用とする野菜のことです。

 

 

土耕栽培のかいわれ大根は、今では珍しいけれども、

春から夏にかけて流通し、デパ地下の生鮮食品売り場に並んでいたり、生産者から直接に割烹料亭に卸されています。板にきれいに並べた状態なので、板ものかいわれと言われています。

 

このスプラウトは、

本来の英語Sproutsに語義を拡張させ「かいわれ大根のような野菜」を付け加えた野菜になります。
さらに、下記に記しますように英語本来の語義が消滅します。

 

なぜこのようになったかと申しますと、

 

アメリカにてBroccoli Sproutsが、1990年代中頃にスーパーフードとして人気になりました。

 

これが、アメリカでのBroccoli sproutsの形状です。(WEB上より拝借)

 

アメリカでは最初、特定の人物により製造特許が取られましたが、当時すでに全米で栽培する業者が多くあり、栽培方法も昔からあることだとして裁判になり、その結果特許は無効の判決がでました。

しかし、日本ではその情報が特許庁に届くことがなかったので、なぜか特許がおりました。昨年その特許が切れたので、今後、多くの生産者が参入すると予測されています。

 

数年後、その余波を受けて日本にも入ってきたのですが、栄養価が高くとも見た目があまり日本のマーケットに合わなかったことがありました。

 

もやし生産者は半ばあきらめましたが、かいわれ大根生産者が独自にアレンジし、かいわれ大根のような姿にアレンジしました。


日本でのブロッコリースプラウトは、アメリカではBroccoli Microgreens(筆者撮影)

 

ちょうどそのころ、大阪でかいわれ大根食中毒冤罪事件が発生しました。

本来ならわかりやすさを優先するなら「かいわれブロッコリー」とすれば良かったのですが、その事件により消費者によるかいわれ大根買い控えが起き、「かいわれ」という名称に不信感を抱かれてしまい、使いづらくなりました。
あくまで冤罪事件ですので、かいわれ大根が原因ではありませんでした。

 

なので、多くの生産者では、ブロッコリーの新芽といったよ言葉を使い商品化しました。

 

しかし、

 

その中で大手生産者が、

 

形状はかいわれ大根の形をしているので、

 

本来ならば、ブロッコリーマイクログリーンやマイクロブロッコリーという言葉が相応しいところ、

 

名称としてブロッコリースプラウトという言葉を使い始めました。

 

というのも理由ははっきりしています。

 

Microgreensという言葉は、まだその当時、アメリカのカルフォルニア南部だけで使われていたため、その地域以外の人々はMicrogreensという言葉を知らなかったためと、

 

アメリカでスーパーフードとしてブロッコリースプラウトが有名であったため、

 

販売戦略として、そのまま使った方が有益であったことのだけです。

 

また、健康食品をよく取り上げてテレビ番組にしていた東京のメディア関連へ好印象だったたことも関係しています。

 

そのおかげでブロッコリースプラウトという名称が普及することになりました。

 

この宣伝によるブロッコリースプラウトのイメージ戦略により、

 

スプラウトとは、かいわれ大根のような野菜の総称とメディアや世間では認知されるようになりました。

 

 

このようにして、英語「Sprout」と日本語「スプラウト」では、意味が異なることになりました。

 

 

 

また、その大手生産者は本来のBroccoli Sproutsをブロッコリースーパースプラウトと名付け商標登録して商品化しました。

 

 

このあたりから日本語独自の言葉として、英語では表現できない、

もやし型のスプラウト



かいわれ型のスプラウト



発芽直後型のスプラウト

が使われるようになりました。

 


 

続いて

Microgreens/マイクログリーン

 

英語のMicrogreensは、かいわれ型のスプラウトに相当します。

 

Microgreensは、

日本ではほとんどまだ聞きなれない言葉ですが、

アメリカでは、商標権のない普通名詞として使われています。

 

2014年1月にMicrogreensがアメリカ農務省が非常に栄養価の高い野菜としてさらに研究が必要であるとのプレスリリースを行って以来、それまで世界に6軒ほどしかなかった生産者が、アメリカだけでなく世界中(日本を除く)にMicrogreens/マイクログリーン生産者が急増しました。現在では、フェイスブックページを持たれている生産者の数は200軒を超えています。そのほとんどが、バックヤード的な場所にラックを組み立て、人工照明を使用した超小規模生産者のレベルですが。そのような生産者が集まるフェイスブックグループも多数立ち上がっています。



海外ではRadish MicrogreensとかMicro Radishと呼ばれているのが、(WEB上より拝借




日本ではかいわれ大根と呼ばれ、(筆者撮影)


海外でBroccoli MicrogreensとかMicro Broccoliと呼ばれているのが、(WEB上より拝借


日本ではブロッコリースプラウトと呼ばれています。(筆者撮影)



えっと、なので、土耕栽培であろうが、水耕栽培であろうが、

商品名としてある

ブロッコリーの新芽、

ブロッコリースプラウト、

Broccoli Microgreens(ブロッコリーマイクログリーン)

は同じものですよ。

 

 

続いて、

マイクロハーブ/Microherbs




マイクロハーブ青じそ(筆者栽培&撮影)


マイクロハーブレッドバジル(筆者栽培&撮影)


マイクロハーブみず菜(筆者栽培&撮影)


マイクロハーブロックチャイブ(筆者栽培&撮影)



マイクロハーブは、スプラウトからさらに成長させ本葉を1㎝くらいまで生育させた野菜になります。
その葉の形や色彩、香りが料理を鮮やかに演出する飾り野菜ともいえます。これまた、商標権のない普通名詞として使われています。

 

日本では、一昨年大手スプラウト生産者がマーケットを新たに創出して、新考案された言葉として題材的にプレスリリースされました。

 

けれども、

10年くらい前から、広島や福岡の英語やフランス語に堪能な生産者が、マイクロハーブを商品名に使用し、多品種を取り揃えながら、出荷先を高級レストラン向けに限定して土耕栽培で作られています。
また、北海道や長崎で、水耕栽培で作られている生産者もいらっしゃいます。

 

この英語のMicroherbsについては、色々な英語サイトを読んでいましても、Microgreens と同意語のような使い方をしている程度で、明確な違いが見受けられませんでした。

 

 

 

最後に

マイクロリーフ/Microleaf

 

端的に申しますと、

 

土耕栽培や水耕栽培にかかわらず

スプラウト、マイクログリーン/Microgreens 、マイクロハーブ/Microherbsとほぼ同じ幼葉野菜のことです。双葉まで生育させたのか、本葉まで生育させたかの違いがある程度です。

 

ベビーリーフより小さい野菜としてマイクロリーフが使用されているのではと思います。

 

英語には詳しくないですが、

アメリカ英語ではGreenに野菜の意味を含みますが、Leafにはその意味を含まず、

イギリス英語ではその反対のようなこともあるのでしょう。

 

 

また、国内でプチリーフなどの名称を使ってられる生産者もおられ、味や香りが強いとのふれこみをされているようなのですが、これも、ほぼ同じ商品になります。

 

 

このあたりが日本の文化の一端が見えますね。

曖昧にすることと明確にすることが共存し、

他者と同類にしながら、異類にしたがるところ。

 

空気を読めっということですかね。

この言葉を最初に使った大物芸人さんは強制引退させられましたけれど。

 

あっ、「空気を読め」を英語で表現すると

「Read a room」になるようです。 

 

 

余談はさておき、

 

スプラウト、マイクログリーン、マイクロハーブ、マイクロリーフ、

Sprouts、Microgreens、Microherbs、Microleafの言葉としての差異をご説明しました。

 

そして、また、

スプラウト、マイクログリーン、マイクロハーブ、マイクロリーフと比較対象の説明に用いられているのが、ベビーリーフ/Babygreensです。

 

ベビーリーフ/Babygreensとは、発芽してから10~30日で 葉丈10-15cm程度の葉柄部分を収穫し、サラダなどに供する。彩りや味の異なる数種類の葉を混ぜて売られるのが一般的、とされています。

 

 

簡単に書いたつもりだけれども、

日本語と英語のにおける言語の成り立ちの違いと各々の言語に付随するそれぞれの文化の違いがありますので、逆に解りづらくなってしまった感もあります。

 


 

 

 

最後に

小規模かいわれ型スプラウト農園の作り方は、

こちらをご参照ください。



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